塗装時、特に部屋でエアブラシ塗装する時にぜったい必要なのが「防毒マスク」と「塗装ブース」。
特にラッカー系溶剤は有毒なので「吸い込むと健康を害する」恐れがかなりあるので、この二つは絶対に必要です。
この記事では「塗装ブースの選び方とおすすめの塗装ブース3つ+α」を紹介させていただきます。
何を買えば良いかわからない方や、amazonで「塗装ブース」と検索しても同じようなものしか出てこなくて困っている方もぜひ参考にしてみてください。
塗装ブースの選び方
塗装ブースの選び方はとてもシンプルで「吸引力」「静音性(静かさ)」「予算」を判断材料にしましょう。
選ぶ際の重要度については
1位「吸引力」
2位「静音性」
3位「予算」
です。
「吸引力」が最優先
塗装ブースの役目はなんと言っても「吸引力」がすべてです。
「いかに自分や周りの人に有機溶剤を吸わない、吸わせないか」が最重要なのです。
塗料に使われてる溶剤って本当に身体にとって有害なんです。
エアブラシで塗装するとその有機溶剤がブワーッと空気中に飛び散るので、見えてないだけで普通に体内に入ってきます。
これを吸い込んじゃうわけです。恐ろしいですよね。
何度も言わせてください、
「吸引力」がもっとも重要です!
ただ、「塗装ブース」だけでは絶対防ぎきれないので「防毒マスク」も必ず購入しましょう。
どんなものを買えばいいかわからないという方は、おすすめの防毒マスクを紹介した記事がありますので参考にしてみてください。
静音性
集合住宅や、ご家族が寝ている時間にしか作業ができないという方も少なくないかもしれません。
比較的静かなものがいいなら「シロッコファン」というものを使用している塗装ブースがおすすめです。
「静音性」に関しては「シロッコファン」というものを使っているものが比較的静かです。そのかわり、「吸引力」が若干低めです。
「静かだけど吸引力がほとんどない」塗装ブースだと本来の利用用途を満たさないので「静かさ」だけを判断材料にするのは避けましょう。
予算
塗装ブースの価格はだいたい10,000円〜で購入できます。
安いけれどあまり知られていないメーカーのものは失敗する可能性も高いため、利用者が多く信頼できるメーカーの塗装ブースを選択するのがおすすめです。
これには3つ理由があって
- 多くの人が使っているということは性能に満足している可能性が高い
- 万一故障した時に、ネットで調べると原因が特定しやすく直し方もわかる
- 信頼できるメーカーだと故障した時に問い合わせて聞くことや修理・パーツ売りなどしてくれるところが多い
からです。
また、商品ページのレビューをしっかり読むことでメリット・デメリットも見えてくるので購入前に面倒でもしっかり確認しておきましょう。
とはいえ使用感を試すことができないため自分の塗装環境にあってるのか結局よくわからないですよね。
そこで頼りになるのは「動画での使用レビュー」です。動画なので「静音性」や「吸引力」も比較的わかりやすいです。
この記事ではおすすめの塗装ブースと一緒に、YOUTUBEから参考になる動画をいくつかピックアップして掲載しておきますので判断材料のひとつにしてみてください。
長くなってしまいましたが、「モデラーがおすすめできる塗装ブース」を3つ特徴を交えつつ紹介させていただきます。
おすすめ塗装ブース3選
塗装ブースを選ぶ際に「吸引力」「静音性」「設置しやすさ」「入手しやすさ」「価格」から総合的に判断しています。
実は抜群の吸引力をほこる塗装ブースがあり、そちらもおすすめしたいのですが「入手しづらすぎる」のでそのブースについては[番外編]として記事後半に紹介させていただきます。
エアテックス レッドサイクロン L
おすすめ塗装ブース3選の中で1番吸引力があるのがこのエアテックスのレッドサイクロンLです。
ただ、他の2つに比べると少々音が大きいです(ちょっと夜間使うにはためらうかも…)。
しかしながら健康のためにできるだけ「吸引力」があるものにして欲しいので、「吸引力」「価格」「入手しやすさ」からこちらをおすすめさせていただきました。
また、この塗装ブースにはLEDライトが付いているのです。
実はこれ、とても役に立つんです。
「塗装するのにライトいる?」
と思うかもしれませんが、塗装時にライトに当てて塗料がどのくらい乗ってるか、塗れてないところはないかなど判断することが多く、ブースについているととても便利なのです。
私の塗装ブースだとライトはついていないのでデスクライトの光に当てながら塗料の乗り具合を確認しています。
また、この塗装ブースは使わない時は折りたたむことができ、コンパクトになるので、塗装ブースに付着した塗料が空気中に舞うのもある程度防げます。
エアブラシで塗装した塗料って粉状になってるので収納してない状態だと乾燥した塗料が室内に結構舞うんですよね…。
- 吸引力がかなりある
- LEDライトがついてる
- コンパクトに折り畳める
- フィルターの取り外しがかんたん
- 音が若干大きい
吸引力 | ★★★★ |
静音性 | ★★ |
入手しやすさ | ★★★★ |
価格 | ★★★★ |
タミヤ スプレーワーク ペインティングブースII
吸引力、静音性のバランスがよくいろんな方におすすめできるのは「タミヤのペインティングブースII」です。
シロッコファンって音は静かなんですが、吸引力は少々弱いです。
しかし、このブースはシロッコファンが2つついているので「吸引力」の弱さを力技でカバーしてしっかり吸ってくれます。
だから「静か」で「よく吸う」というバランスのいい塗装ブースに仕上がっています。
同じくタミヤから発売しているシングルファンのペインティングブースもありますが、絶対ペインティングブースIIにしましょう。
音もファンが2つついていてるのですが、そこまでうるさくないですよ。
「静音性」も「吸引力」も欲しいという方にはこのペインティングブースIIがおすすめです
欠点としてはフィルターの張り替えがかなり面倒なことと、コンセントが2つ必要なことです。
なんと、フィルターを清掃するためには18本のネジを外す必要があるという…
フィルター交換のアクセスに関してはマグネットを貼り付ける方法に変えるなどちょっと改造すればぐんと使いやすくなりますが、ここはいい加減改善して欲しいポイントです。
また、この塗装ブースは単にシロッコファンを2つ使っている塗装ブースなので、コンセントも2つ必要になってくるという「少々面倒な仕様」なんですよね。。
この2点は製品としてそろそろアップデートしてほしいところです。
あと、排気口アタッチメントはぜひ買っておきましょう。
塗装ブースの排気口を窓の外に出すことになるわけなんですが、排気口アタッチメントがないと窓のすきまが大きくなるんです。
そうすると冬は寒気が、夏は熱気と虫がかなり家に入り込んでくるという事態に…。
排気口アタッチメントを塗装ブースの排気口につけておけば窓の開きが最小限におさえられます。
このアタッチメントはクレオスの商品ですが、タミヤのペインティングブースにも装着できますのでご安心ください。
- ツインファンのため吸引力がかなりある
- 比較的静か
- 無改造だとフィルター交換が面倒
- コンセントを2つ確保する必要がある
吸引力 | ★★★★ |
静音性 | ★★★ |
入手しやすさ | ★★★★ |
価格 | ★★★ |
GSIクレオス Mr.スーパーブース コンパクト
クレオスから販売されている塗装ブースです。
タミヤのペインティングブースIIに比べるとシロッコファンが1つだけなので吸い込みはどうしても劣ってしまいます。
しかし、名前から分かるとおりとてもコンパクトで約縦26cm×横37cm×奥行き29cmというサイズです。
「そんなに小さくて大丈夫?」と思うかもしれませんが、超大型の模型を塗装することでもない限り大きなブースは必要ないです。
私はGSIクレオスの「Mr.スーパーブース」という約縦37cm横62cm×奥行33cmのものを使っているのですが、かなり大きいので置き場所に結構困ってます。
ファン自体はどちらも同じシロッコファンを使っているので、吸引力は変わりませんよ。
クレオスのスーパーブースは音も静かなので私の場合は夜でも気にせず塗装できています。
比較的価格が安いのも魅力です。
フィルターが汚れてる状態でエア圧を強めにして塗装すると思いっきり吹き返す(塗装を吸い込んでくれず部屋に塗料が舞い戻る)のでフィルターはこまめに変えましょう。
フィルターがちょっと高いので換気扇用のフィルターをカットして使うと安上がりになります。
ただ、私は余計な手間をかけるのがイヤなので手間を省くためにこの二つの商品を併用しています。
上記二つの商品を使うことでMr.スーパーブースはフィルターの交換がタミヤのものに比べて格段に楽になります。
この塗装ブースも排気口アタッチメントは買っておいた方がいいです。
Mr.スーパーブースの場合は1個でOK。
また、こちらのハニカムフィルターは塗装頻度にもよりますが、半年〜1年位で交換しましょう。
段ボールに塗料が付着するので部屋においておくと乾燥した塗料が舞うことになります。
私は使わない時はビニール袋に入れて使うときだけ装着するようにしてます。
- 省スペースで使える
- 比較的安価
- 静か
- フィルターの交換が楽
- 吸引力が他に比べると劣る
吸引力 | ★★★ |
静音性 | ★★★★ |
入手しやすさ | ★★★★ |
価格 | ★★★★ |
塗装ブース解説動画
塗装ブースの使用感についてはこちらの動画が結構参考になりましたので、時間があればご覧ください。
[番外編]おすすめ塗装ブース(実は本命)
この[番外編]で紹介する2つの塗装ブースは、吸引性能が現在発売されている塗装ブースの中では1番強力です。いやケタ違いに強力と言った方がいいかもしれません。
ただ、価格面や入手のしづらさなどからおすすめ塗装ブースから除外しております。
性能、価格、購入方法など紹介しておきますので欲しい方は検討してみてください。
ネロブース
「株式会社ガットワークス」が販売している塗装ブースです。
さきほどおすすめで紹介したものよりもかなり強力な吸引力です。
ネロブース | 本体:W50×D50×H53(cm) / 8.5kg ファン:W25.5×D25.5×H52.8(cm) / 8kg | 63,800円(税込) |
ネロブースmini | W45×H45×D40(cm) / 重量:約8.5kg シロッコファン:W20×D20.6×H20(cm) 設置時高さ:65(cm) | 49,500円(税込) |
サイズと重量、価格面ですべての方にはおすすめできないのですが、模型誌で活躍するモデラーの方たちも愛用するほど吸引力は抜群です。
とにかく吸引力が欲しく、常設できるスペースがある方、健康第一な方、金額にも抵抗がない方には本当におすすめです(これ一択といってもいい)。
また、排気ダクトパイプの径が大きい(150mm)ので、窓からパイプを逃すとなると隙間がかなりあいてしまいます。そのままでもいいかもしれませんが冬は寒いし夏は暑いし虫が入ってくるしで最悪なのでそちらの対処も必要です。
このような窓の隙間を埋める商品商品もあるので、窓のサイズにあったものを一緒に購入しておくことをおすすめします。
※塗装ブースのダクトパイプの径や窓のサイズなどを必ずご確認のうえご購入ください。
一応、amazonの窓用の隙間埋めの一覧を下に貼っておきます。
互換ブース
「互換屋」が販売している塗装ブースです。
こちらも市販品より吸引力がかなり強力です。
「スタンダード」「スリム」「マイクロ」の3サイズがあり、寸法、価格は以下のとおりです。
スタンダード | 横45×縦45×奥行45(cm) / 4kg | 30,800円(税込) |
スリム | 横45×縦45×奥行35(cm)/ 4kg | 30,800円(税込) |
マイクロ | 横44×縦16×奥行15(cm)/ 1.5kg | 33,000円(税込) |
抽選販売なので必ず買えるというわけではなく、互換ブースのサイトで次回販売予定日や抽選販売日などのアナウンスをしています。
また、設置についても市販の商品よりも面倒で慣れていない方にはなかなか苦労するかもしれません。
気になる方は互換ブースのサイトを見て検討してみてください
塗装ブースを使う際の注意点
塗装ブースを使う際に1つ注意点があります。
「塗装ブース以外の換気扇は稼働させないこと」
です。一人暮らしの方だと部屋にキッチンがある場合が多いと思います。
「換気扇を回しつつ塗装ブースも稼働させる」方がより換気効果があると思うかもしれませんが、実は違います。
複数箇所の換気だと部屋の気流が乱れるため換気効果が低くなります。
塗装の際は、塗装ブースのみ稼働させて換気しましょう。
塗装ブースは定期的に掃除を
塗装ブースは定期的に掃除をしましょう。
ブースに付着した塗料は粉状になっているのでちょっとした風やエアブラシのエアーで粉状の塗料が舞い上がってしまいます。
粉状の塗料が体内に入るのも当然よくないですし、塗装中のガンプラなどに粉がついてしまうのもいやですよね。
フィルターに関しては塗装ブースの吸引力が落ちたと思ったらすぐに交換し、塗装ブースは月に1度くらいは掃除してあげることをおすすめします。
また、塗装ブースだけでは塗料の吸引を完全に防ぐことはできません。
ガンプラ作りは健康あってのものなので必ず防毒マスクと防護メガネもつけて塗装しましょう。
以下の記事で防毒マスクを着けず塗装した私の体験談、おすすめの防毒マスクを紹介しておりますので良ければ参考にしてみてください。